長く品切れでしたが重版しました。
製本の仕様が上製から並製になりましたが、内容ほかは全て同じです。
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JUGEMテーマ:シュタイナー教育 シュタイナー幼児教育
不安げな子・寂しげな子・落着きのない子
四つの身体感覚を育むこと/シュタイナーの感覚論にもとづく発達心理学の観点から
周りの人々(教育者、父母など)が子どもたち一人ひとりに関心を持ち、その奥に秘められたそれぞれの子ども自身の輝き・尊さを信じられた時、そのまなざしの下で子どもは変わります。四つの身体感覚(生命感覚、触覚、運動感覚、平衡感覚)を育むこと/シュタイナーの感覚論にもとづく、発達心理学の観点からの、教育的実践へむけてのヒントが満載です。
一、教育実践に関する基本的な事柄
夜が助けてくれる
天使が応えてくれる?
橋の番人からの問いかけ
魂にとって身体が冷たすぎるときは
冷たい頭と温かい魂
道徳教育とは?
創造的な知覚プロセス
模倣しつつ善きものを求める
二、生命感覚を探る
この章のはじめに
基本的な心地好さについて
生命感覚についてのその他の事柄
肯定的な静かな覚醒状態と善きものの体験
生活リズムと自分という存在への信頼感
落着きのない‐興奮しやすい子ども
呼吸を解き放つために生命感覚を育む
教育と自己教育 ― 寛容の姿勢について
三、触覚を探る
感覚器官としての皮膚
触覚による知覚はどのような性質を持っているか
神的感情の浸透
触覚と関心 ― 相違の体験、身・魂の共振、存在の確認
人間学と教育実践
理解するということは?
世界との愛に満ちた触れ合い
近しさと痛み
空間的な境界を持つ身体的な自己
地上への誕生
教育と自己教育 ― 心配り
不安を抱えている子どもの潜在的トラウマ
身体的感覚と社会的感覚 ― 後天的な不安
不安げな‐ためらいがちな子ども ― 幾つかの観察
よい睡眠とよい目覚めに向けての準備
教育と自己教育 ― 肯定的な視線
不安げな‐ためらいがちな子ども ― 幾つかのさらなる観察
まとめ ― 落着きのない子ども、不安げな子どもとは、どうかかわればよいか
四、運動感覚、平衡感覚を探る
この章のはじめに
自分自身の自由な魂を感じること
自律の感情
隠れた芸術家
魂の繊細な調整について
動きのなかで一つの「まとまり」をなしている魂
感情移入と思いやりの心
誤った診断 ― 厳しい発達条件について
寂しげな‐沈みがちな子ども ― 潜在的な運動感覚障害の特徴
さまざまな要因 ― 幼児期における模倣活動に関して
天使が触れる ― 子どもが抱いている無意識の郷愁
寂しげな‐沈みがちな子どもとはどうかかわればよいか
率直な分かりやすい言葉、内容の詰まった身ぶり
教育と自己教育 ― 思いやりの心
平衡感覚
解放された腕と手の働き
平衡感覚と判断力
魂の平衡(バランス)と公正感覚
恩寵(おんちょう)としての歩行能力 ― 平衡感覚の役割
魂のバランスと、自分の価値を認める感情
まとめ ― 寂しげな‐沈みがちな子どもたちの指導に向けて
おわりに ― 教育と倫理
本書は、いくつかの講演を、出版のために編集し、まとめたものです。文体を読みやすいように整えたり、追記したりはしましたが、聴衆に向けて語り掛けているような自由な雰囲気を持たせるように努力しました。[ … ]この本は、私が設立者のひとりでもある、ヤヌシュ・コルチャック研究所の治療教育部門で、施設の内外のさまざまな出来事において長年にわたり続けられてきた働きについて、あらためて洞察しています。よく訓練された観察と、生き生きとした愛に満ちた人間理解に基づいた教育学を、実践的な心理学的研究の基礎に据えることが、私たちの願いです。
四つの身体感覚(生命感覚、触覚、運動感覚、平衡感覚)のうち例えば触覚は、世界との愛に満ちた触れ合いなどを丁寧に経験することが、抗不安に繋がり、神経症的多動的情緒不安定状態を改善解消の方向に向けるという本書趣旨は大勢の共感を呼ぶのではないでしょうか。
聞き分けなく反抗的に振舞う子どもは、実際にはただ何かに脅えているだけで、不安に襲われ、鳥篭の中で暴れている小さな小鳥のようなもの。では自分たちに具体的に何ができるか考えてもなかなか解決策はみつからないかもしれないけれど、毎晩五分間だけその姿、小さな鳥籠が窮屈で暴れている様を思い浮かべる練習をすることで、何かが変わるはず・・・。
いつも必ずどこかにいるどこか脅えた子供たち。そんな子供たちを心配する保護者含め周囲の人たちへと、本書は、まなざしの意味効用、心構え等々、デリケートで小さいけれど、とても重要なことを教えてくれる内容です。
1951年5月21日生まれ。教職に就いた後、家庭教育、少人数クラス担任、臨床治療教諭、独立青少年指導に携わる。治療的教師、チャイルド&ユース・セラピストとして活動する傍ら、ドイツ国内外で幅広く講演活動を行う。エルフトシュタットのフルベルトゥス社会教育学アカデミーとニュルティンゲンのヤヌシュ・コルチャック研究所の共同設立者でもある。2021年4月8日死去。
1946年生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科中退。ドイツ、ヴィッテンのヴァルドルフ教員養成コースにて学ぶ。 訳書に、J.ボッケミュル『植物の形成運動』、W.ホルツアップフェル『体と意識をつなぐ四つの臓器』、A.ズスマン『魂の扉・十二感覚』、E.マルティー『四つのエーテル』他、耕文舎主宰。
3月31日刊行します。
美しい絵画作品のような黒板絵。シュタイナー教育において黒板絵は教師の語りに命を吹き込む立役者です。本書では、長年シュタイナー学校の教員養成に携わった著者(マルグリット・ユーネマン氏)が、黒板絵の描き方・考え方について丁寧に解説します。
読み物としても面白く、また、パラパラとめくってアートブックとして眺めることもできます。
日本で初めてシュタイナー学校の黒板絵を紹介する本です。
『おやすみの後に』
-シュタイナーと出会って生まれた絵本-
マルタ・シュトラハヴィッツ著/ヒルデ・ランゲン絵/伊藤壽浩訳/
お待たせいたしました。
重版出来です。
今までにない、本格的なシュタイナーの世界観が描かれた絵本です。
ぜひお手に取って本物にふれてみて下さいませんか。
人間が持っている本来の広がりを温かく光に満ちたかたちで描いたこの絵本が、
こどもたちのこころのなかに人生に対する豊かな信頼をしずかに育んでいってくれることを願ってやみません。
『おやすみの後に』というタイトル、
あるいは下の画像をクリックしますとショッピングカートに飛べます。
全国のどこの書店でも「イザラ書房のおやすみの後に」とリクエストくださるか
あるいはISBNコード 978-4-7565-0133-2 を伝えてご注文下さいませ。
皆さまのお手元に届きますように
この絵本は、もうどのくらい時間がかかったのかも忘れてしまったくらい、形にするのに時間がかかった本です。
ドイツ語の原本は、日本語版の2倍の大きさで、それぞれのページが布のテープで貼り付けてあり、日本でいう紙芝居のような絵本でした。クライマックスの星が開くところは星の型抜きがしてあるページを上に持ち上げます(日本版は観音開き)。
それを日本で販売するとなると、まず、このままの形では無理だろうと思い、テープでつながずに何とか本の形にしたいと考えました。
訳者は建築家でもあり立体を考えることもできる方でしたので、アイデアを出し合い試行錯誤を重ねました。
そして、こうしたら何とか販売できる形になるのではないかとの試作品を作り、それを見てもらって、最終的には通常の印刷所ではなく、デザイナーの古くからの知り合いの、パッケージを制作している会社に頼んでA5版の絵本に仕上げてもらいました。
私が作ったサンプルは、厚紙に原本をカラーコピーした紙を貼っただけのものでしたが、パッケージデザインが専門のデザイナーは、複雑な折の厚紙を重ねた絵本の設計図が描けて、制作会社の社長は、その場でサンプルを見ながら、折はこうしようとか具体的な話がすぐにできたのでした。
そして、翻訳文は手書き文字がいいかしら…とか、入れる場所をどこにしようか…とか、原文と訳文を併記しようか…とか、皆でいろいろと相談しながら、形が決まったら一気に進んだという感じです。
チェック用の豆本も手作りしたりして、どんどん楽しくなっていったのを覚えています。
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ここ数年のうちに、子どもがスマホやタブレット端末をおもちゃ同様に持ち歩き、使用している姿が当たり前のように見られる世の中になりました。
子どものインターネット依存も大きな社会問題になっており、その数は中高生の7人に1人にあたるとも言われています。
スマホの動画などを見せて子どもを静かにさせようとする親たちがいる一方で、それでいいのかと揺れている親たちも多いのではないでしょうか。
デジタルメディアの世界で子どもが健康に育つには何が必要で大人はどう行動すべきか。
本書は保護者、保育者、教師、そして子どもと若者に寄り添うすべての人へのガイドブックです。
翻訳本ですが、日本での実情や問い合わせ先、参考図書などのデータも掲載してあります。
日本の皆さまへ
子どもを「あっちこっち世界病」に追い込んではいけない
序 文
1 なぜこの本を書いたのか ?
1.1 子どもの発達に沿ったメディア教育
1.2 現実の世界で子どもの体験を高める
1.3 親として子どもにどのような助言を与えるか
2 子どもたちを電磁波から守る
「生まれてすぐの時期」から真剣に考えなければならないこと
2.1 携帯電話の電磁波の生物学的な作用
2.2 予防と提案
3 乳幼児(0 〜 3歳)
スクリーンメディアや電磁波を発するおもちゃを与えない
3.1 幼児は健全な発達のために何を必要としているか?
3.2 スクリーンメディアは、子どもに大人とは異なる影響を及ぼす
3.3 幼児期における責任あるメディア教育のヒント
4 保育園・幼稚園児(4 〜 6歳)
現実の世界での体験や運動の機会をできるだけ多くつくる
4.1 園児は健全な発達のために何を必要としているか ?
4.2 園児へのスクリーンメディアの影響
4.3 園児への責任あるメディア教育のヒント
5 小学校低学年(7 〜 9歳)
スクリーンメディアはできるだけ使わせない
使う場合は大人が寄りそい制限する
5.1 小学校低学年の成長のステップ
5.2 心理学者・小児科医が述べる子どもの基本的な欲求
5.3 小学校低学年における責任あるメディア教育のヒント
6 子どもから青年へ(10 〜 16歳)
メディアを使いこなすようになるまで
6.1 思春期の子どもたちは健全な発達のためには何が必要か?
6.2 スクリーンメディアの影響
6.3 健全に使いこなしていくためのヒント
6.4 デジタルメディアは長期的な視点で見ると子どもの学びに役立つか ?
6.5 セキュリティ・ソフトウェアと技術的サポート
7 デジタルメディア使用の危険性
7.1 ソーシャルメディア使用に伴うストレス
7.2 過度なメディア使用と依存症の危険
7.3 個人情報に対する軽率なアプローチ
7.4 サイバーいじめとインターネット・ハラスメント
7.5 青少年に不適切なサイト
8 インターネットと法律 −保護者のための情報−
8.1 情報における自己決定の権利
8.2 インターネット刑法及び青少年保護法
8.3 著作権法
8.4 売買契約とインターネットにおける法的責任
8.5 法律上の親の義務、WhatsApp を例として
付 記
日本版:参考図書、日本版:参考資料、参考文献、出典、写真リスト
協力/ 支援団体、重要事項
あとがき
[一部抜粋]
小学生以降の大きくなった子どもにとっては、正常な社会性を身につけることが極めて重要です。正常な社会性を身につける際に仲間との付き合いが必要ですが、この付き合いが「人対メデイアの付き合い」を介したものになると、大きな障害が生じるのです。例えばその特性としてオンラインがもたらす脱抑制、つまり自己中心で行動に抑制力がなくなります。
小学生以降の子どもは社会生活が複雑になり、現実世界での人付き合いが多くなります。この子供たちが「人対メデイアの付き合い」に慣れてしまうと、面倒な「人対人の付き合い」を避けて、自分本意で自由気ままな「人対メディアの付き合い」を求めてオンライン世界へ逃げ込むか、現実世界の中に「人対メディアの付き合い」を持ち込んでトラブルを起こすことになります。これではその子供は正常な社会性を身につけることができず、一生を通じて楽しい生活を送ることがむつかしくなるのです。
保護者と社会はデジタルメディアが乳幼児にとっては親代わりになりうること、そしてその特性であるオンライン脱抑制効果が子供の成長に与える悪影響を充分に理解した上で、子どもが正常な愛着形成と正常な社会性を身につけるまでは、デジタルメディアを出来る限り避けなくてはなりません。具体的には子供の成長を見極めながら「デジタルメディアを与えない」、あるいは「デジタルメディアの使い方を制限する」ことです。そして、「人対人の付き合い」を介して正常な愛着形成と正常な社会性が身についた子どもはデジタルメディアを正しく使うことができるのです。これこそがこの本がいいたいことなのです。
この本の原書は完成まで5年以上にわたる歳月を要し、15もの専門機関の協力・援助のもと2018年秋にドイツで出版されました。
初版が出版されて以来、再版を重ね、現在16の言語で翻訳されており、日本版は17番目になります。日本版には日本での実情や問い合わせ先、参考図書などのデータも掲載してあります。
デジタルメディアの姿を正しく認識して、どのようにつきあっていけばよいのかを知るにはうってつけの本です。
日本小児科医会・村田光範先生(東京女子医大名誉教授)監修、同じく内海裕美先生(子どもとメディア委員会担当理事)推薦です。
必要としている多くの方のお手元に届きますよう願っています。
M.ライアー・G.バイルハルツ著/伊藤壽浩 訳・吉良 創 監修
Copyright 2021/A4判変形 64p/ISBN978-4-7565-0151-6
定価(2,500円+税)
キンダーハープは、子どもたちのために楽器を弾いてみよう、楽器を弾きながら一緒に歌ってみようと思っている皆さんの身近にある楽器です。そしてその繊細で透明感のある音色と、扱いが簡単なことから、多くのシュタイナー園、ご家庭でも取り入れられています。
キンダーハープは聴く人の耳をそばだたせ、メルヘンやお話に合わせたり、こどもに合った歌い方にしたい時の助けになります。
この本では、子どもを寝かしつける時やお話しの伴奏にふさわしい曲、即興演奏のためのヒント、音の合わせ方や弦の張り方について、より深く考えるためのいくつかの視点、また参考図書などを紹介しています。
キンダーハープに初めてふれる方にも、楽器を弾いたことのない方にも、わかりやすい本になっています。
はじめに
最初の出会い
楽器を持たずに練習してみる(立っても座ってもいいです)
座って両腿の上にキンダーハープを乗せる
弦の並び方- 表記- 指使い
歌の声との関係
基本練習と最初のメロディー
普通の持ち方への移行
一般的な持ち方
音を奏でる
子守唄
家庭での日々の歌と演奏
歌について
キンダーハープの演奏について
他の楽器の音
自由な演奏、即興
即興を少し始めてみましょう
演奏する−内的に(心で)歌う−声に出して歌う
メルヘンの音楽
歌
キンダーハープの歩みとその目指したもの
就学前の子どもたちに特有の音楽性はあるのか?
調弦の仕方と弦の張り方
調弦
弦の張り方
付記
連絡先
文献と楽譜出典
著者・訳者プロフィール
はじめに
キンダーハープは
子どもたちのために楽器を弾いてみよう
そして楽器を弾きながら一緒に歌ってみようと思っている皆さんの
身近にある楽器です。
これから皆さんに一歩ずつ
キンダーハープを弾くことに慣れ親しんでいただきます。
楽譜が苦手な方は
曲を覚えてから弾くのでもよいと思います。
そして子どもを寝かしつける時や
お話しの伴奏にふさわしい曲
即興演奏のためのヒントを紹介いたします。
巻末には
音の合わせ方や弦の張り方について、
より深く考えるためのいくつかの視点、
また参考図書や連絡先などが添えてあります。
さあ、それでは、
素敵な音の世界へご一緒しましょう!
メチルド・ライアー
ゲルハルト・バイハルツ
2014年に著者のゲルハルト・バイルハルツ氏が来日された折、ご本人から直接お願いされたキンダーハープの本の日本語訳がやっと完成しました。
ドイツ語版に掲載されている歌を「わらべ歌」や「シュタイナー園で歌われている歌」にいくつか差し替えてあります。
バイルハルツ氏も、どんな歌が掲載されるんだろうと、翻訳出版の話がでた時から楽しみにしておられました。
ドイツの子どもの写真は みやがわよりこ氏のイラストに替えてあります。
柔らかな素敵なイラストで、この本にとてもマッチしていると思っています。
ライアー指導者、様々な教育機関で音楽講師として従事。
また海外での講座を行うかたわら、音楽教育、治療教育における音楽、新しく開発された楽器に関する書籍などの出版を行う。
(1957 - 2014)音楽療法士(BVAKT)、音楽教育家として様々な実践をする。
また、若い母親やメルヘンの語り手、ホスピスや緩和ケア従事者などに向けたキンダーハープのコースも行っていた。
建築家として幼児教育施設など数多く手掛ける傍ら、京田辺シュタイナー学校開校時より宗教専科教員を務める。訳書にシュタイナー・リズミカルアインライブング(イザラ書房)、大地の四季(涼風書林)、国際通貨同盟―ゲゼル・セレクション(アルテ)など。
自由学園卒業。ヴァルドルフ幼稚園教員養成ゼミナール修了、ライアー演奏をA・ローリン
グに師事。現在、NPO 法人南沢シュタイナー子ども園代表理事、滝山しおん保育園園長、日
本シュタイナー幼児教育協会理事、ライアー響会代表、Quiet Waters 代表。国内外でライアー、シュタイナー幼児教育の講座、講演、コンサート、執筆などをしている。
Copyright 2021/四六判上製 264p/<br>
ISBN978-4-7565-0150-9/<br>
定価(2,500円+税)
シュタイナーの道徳教育論を読み解くとともに、具体的実践を紹介しながらシュタイナー学校における道徳教育のメカニズムを明らかにする。
シュタイナー教育は、思想家であり教育者である、ルドルフ・シュタイナーが生み出した独自の教育実践である。芸術を実践の中心に据えたシュタイナー学校の教育実践は世界的に高く評価され、その数は全世界で1000校を超えるといわれている。
そんなシュタイナー学校のカリキュラムには教科としての「道徳」は存在しない。では、道徳教育がないがしろにされているかと言えば、事態はむしろその逆である。国語、数学、理科、社会、あらゆる教科の中で、あるいはあらゆる教科をまたいで道徳教育が行われている。また、そこでは、すべての教科の学びが芸術的な仕方で子どもたちに提示されている。
では、なぜ、教科として独立した形ではなくあらゆる教科の中で道徳教育が行われるべきだと考えられているのか。なぜ芸術教育と道徳教育が渾然一体となって展開されているのだろうか。また、子どもたちのうちにどのような力を育むことが目指されているのか。本書ではシュタイナーの道徳教育論を読み解くとともに、具体的実践を紹介しながらシュタイナー学校における道徳教育のメカニズムを明らかにする。
はじめに
第1章 シュタイナー学校における道徳教育と芸術教育の連関
1 「道徳」の授業なき道徳教育
2 芸術の位置づけ ― シュタイナーの道徳教育論を支える芸術論
3 シュタイナーにとって芸術とは何か― 感覚的=超感覚的なものの表現としての芸術
4 ゲーテの芸術論を支えるゲーテ自然科学
5 ゲーテ自然科学研究の意義
6 自然認識から芸術的創造へ
7 シュタイナーにとって道徳とは何か
8 直観の道徳的行為への応用 ― 道徳的直観をめぐって
9 道徳的人間=自由な人間
10 自然認識、芸術的創造、道徳的行為の連関
11 道徳教育における権威の必要性
12 シュタイナー学校の授業における感覚的=超感覚的なものの提示
― エポックノートにおける感覚的=超感覚的なもの
インタビュー? 教科の学びにおける道徳教育の実際
世界の美しさに触れる
教師の「権威」について
子どもの問題行動への対応
第2章 フォルメン線描の道徳的意義
1 シュタイナー学校における道徳的基盤 ― フォルメン線描の目的
2 フォルメン線描では何がおこなわれているのか
3 シュタイナー教育はすべての教科がフォルメン的である
シュタイナーのフォルメン、クレーのフォルムング
第3章 道徳教育としての音楽教育
1 シュタイナー教育の柱としての音楽教育
2 シュタイナー音楽理論の理論的背景
3 音楽と自由
4 ドイツのシュタイナー学校における音楽の授業実践
「精霊ごっこ」の事例
「ムジーククーゲル遊び」の事例
5 「聴く」ことの意味
インタビュー? 道徳教育としての手仕事
自己肯定感を育む手仕事の時間
手仕事の教員の立ち位置
手仕事におけるリズム・繰り返しの重要性
発達段階に応じた手仕事の課題
8年生の劇について
クラスがうまくいっていない場合に手仕事の教師はいかに子どもと関わるのか
手仕事の教師による雰囲気作り
第4章 道徳教育としての国語教育
1 国語における道徳教育 ― ユーモアエポックの事例
ユーモアエポックの位置づけ
シュタイナーにおける笑いの意味
2 ツァラトゥストラの笑い ― シュタイナーのニーチェ解釈
3 学校法人シュタイナー学園におけるユーモアエポックの授業
― ユーモアエポックの授業方針と授業計画
授業の流れ
ユーモアエポック 第1週の学び
ユーモアエポック 第2週の学び
ユーモアエポック 第3週の学び
4 自由への準備としてのユーモアエポック
インタビュー? 道徳教育としての演劇教育
シュタイナー学校における演劇教育
長期的ヴィジョンに基づく教育
第5章 シュタイナー学校では教師をいかに育てるのか
1 道徳教育を担う教師をいかに育成するか ― シュタイナー学校における教員養成
2 道徳教育と教員養成の構造的一致
3 滲みこみ型の教員養成
4 受講者には何が求められているのか
直観はいかに磨かれるか ― 聴くことの意義
フォルメンを生きるシュタイナー学校の教師たち
同僚性に基づく教師の成長 ― 長期的展望に基づく教師同士の関わり
魂のあり方の変容に向けて
おわりに
引用文献一覧
初出一覧
研究協力者一覧
2020年、新型コロナウィルスの影響をうけ、世界中が先行きのみえない状況に直面することとなった。情報が日々更新され、状況は刻一刻と移り変わってゆく。どのように行動すべきか、誰かが答えを知っているわけではない。置かれている状況によって判断が異なってくるような問題も多い。Aという状況下で通用したことが、文脈の異なるBの下では誤った判断となることもある。その都度、ひとりひとりが状況に応じて最適解を導き出す力が試されているのである。既存の枠組み、常識やルールに従って生きるだけでは不十分な、極めて高度な問題に全人類が向き合わねばならなくなった。
こうした状況において求められるのは、言われたことを言われたとおりに行う力ではないはずだ。外側から与えられた命令に盲目的に従うのではなく、生きた現実の中で「この自分が何をなすべきか」を見極めることこそが重要となる。
本書で紹介するシュタイナー教育において、子ども達のうちに育もうとしている力は、こうした正解のない時代においてこそ発揮される。
京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、東京理科大学教育支援機構教職教育センター准教授。沖縄シュタイナー教育実践研究会顧問。『シュタイナー「自由」への遍歴――ゲーテ・シラー・ニーチェとの邂逅』(京都大学学術出版会、2012年)、『マンガでやさしくわかるシュタイナー教育』(日本能率協会マネジメントセンター、2019年)、『笑育――「笑い」で育む21世紀型能力』(監修、毎日新聞出版、2018年)、『記者トレ−−新聞記者に学ぶ観る力、聴く力、伝える力』(監修、日本能率協会マネジメントセンター、2020年)、『ワークで学ぶ教育学 増補改訂版』(編著、ナカニシヤ出版、2020年)、『ワークで学ぶ道徳教育 増補改訂版』(編著、ナカニシヤ出版、2020年)、『ワークで学ぶ教職概論』(編著、ナカニシヤ出版、2017年)、ネル・ノディングズ『人生の意味を問う教室――知性的な信仰あるいは不信仰のための教育』(小木曽由佳との共訳、春風社、2020年)、他。
]]>ゲルハルト・バイルハルツ(著)井手芳弘(編訳)
発行:イザラ書房
A4変型判 64ページ 定価 2,500円+税 ISBN 978-4-7565-0149-3
アニメ『千と千尋の神隠し』の映画で一躍その存在が知られるようになった『ライア』という楽器。この教則本では、音楽療法や演奏用の楽器として使われてきた『ライア』の弾き方や意識の持ち方などが独学で学べます。ここに書かれた練習は、空間の中での自分の動きの認識から始まり、この楽器を弾くときの姿勢や動き、それぞれの音の形づくりかた 、そしてメロディの演奏にまで至ります。
はじめに
練習の際に気をつけること
楽器を弾く前に
空間の中で自分の姿勢をとらえライアを正しく持つための練習(練習1〜2)
楽器を使った基礎練習(練習3〜8)
音、および音の組み合わせ(練習9〜13)
注意事項1
練習曲(練習14〜19)
注意事項2
練習曲(練習20〜57)
おわりに
ライアの音域
付記
ライアの種類と音域
音符の表記
指使い
ライアの取り扱いについて
調弦
更に上達するための曲集
初心者におすすめの曲集
更に上達するための教則本
関連する住所
この楽器は長い間、ほとんどアントロポゾフィーに基づく治癒教育の中だけで弾かれてきました。そのため、ライアは今日も教育と音楽療法の分野で主に使われています。時々コンサートでも演奏され、静寂な雰囲気の中で楽しまれています。ライアの特徴である繊細で長い余韻は聴覚を敏感にさせ、聴く人が音のニュアンスを生きいき豊かに聞き分けられるように促します。そのことから、ライアは教育と音楽療法の分野のみならず、演奏を通して音楽のエレメントに近づこうとする人達に大切にされてきました。
ライア演奏のために考え出された、身体の動きを集中して練習するこの教授法は、周りからの刺激によって不安定にさせられ 、麻痺させられている私たちの内なる音楽的なものを動かし、閉ざされている音楽への道を開くことができます。
ライアという楽器は、まだ日本ではあまり馴染みがない楽器ですが、宮崎駿監督のアニメ『千と千尋の神隠し』の映画で一躍その存在が知られるようになりました。
ドイツではライアはすでに八〇年ほどの歴史があり、主に療法用の楽器 として使われてきました。もちろん演奏用の楽器としても使われ、 コンサートも開かれています。そのやさしい音色にファンも多く、 ライアの愛好者も増えています。 近年、日本でも多くの方がライアに興味を持たれ、ライア人口も増えて います。
ライアに関する様々な情報も掲載されており、ライアってどんなものかな? と思われる方も一度目を通されると全貌がつかめるでしょう。
ぜひ一度この本をお手に取ってご覧になってください。
1953年バイヤースブロン(シュヴァルツヴァルト)に生まれる。
ライアー指導者、音楽教育家。
音楽学、民俗学、心理学を学んだ後、自由音楽学校にて芸術教育学、療法学を学ぶ。
1979-1990年ヘプシスアウのミヒャエルスホーフの音楽家として活動。
その後ゲッピンゲンのシュタイナー学校で音楽を教えながら種々の養成所や国外のゼミナールで指導に当たる。
1956年佐賀県唐津市に生まれる。
シュタイナー教育実践家、ゲーテ的自然科学研究家、玩具店ペロルオーナー。
佐賀大学教育学部卒業後、中学校教員3年間勤務の後ドイツに留学。
シュタイナー学校教員養成所にてクラス担任コース及び理科教員の養成コースを終了。
福岡、東京などで子どもや大人のシュタイナー教育の講師、シュタイナー学園の講師を務める。店の経営のかたわら、木工玩具、家具、楽器などの製作、ドイツ語の翻訳通訳なども手がける。
しばらく品切れでした。
ここのところ、書店からの問い合わせや、学校からの問い合わせがあって、、、
いろいろ考えてて、
増刷をオンデマンド印刷にするか悩みました。
けど、やっぱり、これは大事な本なんだと、
講演+論文の両方が掲載されているのはイザラ版だけなのだと思って、
6刷を今まで通りの上製本で増刷することにしました。
10月15日には書店で、Web書店で、購入できるようになります。
必要としている方々に届きますことを願います。
森章吾先生のコメント
これはいい本です。
4つの構成体の観点から教育を論じています。
『一般人間学』は人間の三層構造の観点から教育を論じています。
両者が相補的で有用です。
画房寺子屋さんのコメント
アントロポゾフィー:人智学は常に「人間とは何か?」と問うています。
「一般人間学」と、この「霊学の観点からの子どもの教育」の2冊は、その問いに答えてくれるものだと思います。
そして「霊学の〜」を実際に読んでみると、思ったより取り掛かりやすい本で、はじめての方にもお勧めします。
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JUGEMテーマ:イベント情報
お陰様で、下記オンライン講演会は大盛況で、
無事に終了しました。
ありがとうございました。
4月3日に開催予定でした『北欧の森のようちえん』リッケ・ローセングレン先生の講演会は10月9日【オンライン開催変更となりましたので、お知らせいたします。社会情勢・保育環境が大きく変わっていることを踏まえた内容にてお送りします。
デンマークでシュタイナー幼児教育を長く実践しているリッケ・ローセングレン先生の著作が日本語に翻訳されてイザラ書房より出版されることになりました。
ボンサイ幼稚園では、子どもたちは1日のほとんどを森の中で過ごしており、シュタイナー教育と森のようちえんの理念を共に生かして保育されています。
その中で、先生ご自身が子どもたちの成長を支える自然の力の重要性に気づかれ、この本にまとめられています。きっと今の日本の子どもたちの生活にも生かせる多くの学びができることと思います。
日本の子どもたちと日々共にいる保育者や教師、そしてお母さんお父さんたちにぜひ聞いていただきたい講演会です。
皆さんのご参加をお待ちしております。
内容:季節のめぐりと子どもの成長
日時:2020年10月9日(金)
講演19:00〜21:00
オンライン開催
参加費:2,500円(一般)、2,000円 (日本シュタイナー幼児教育協会員、森のようちえん全国ネットワーク会員、10/9,10 両イベント申込者:詳細についてはhttp://jaswece.org/02/index.html まで)
主催:日本シュタイナー幼児教育協会
共催:株式会社イザラ書房
後援:デンマーク大使館
:森のようちえん全国ネットワーク連盟
申込先:日本シュタイナー幼児教育協会事務局 e-mail:jaswece.jimu@gmail.com までお申込ください。
お名前、会員・一般(会員の場合所属園)参加費、緊急連絡先をご明記ください。
*お申し込み後、入金方法をお知らせします。入金をもってお申し込み完了となります。
【スピーカー】
リッケ・ローセングレン氏(https://rikkerosengren.com/)
森のようちえん・シュタイナー幼児教育施設「こども島ボンサイ」の共同設立者・園長。
長年にわたり教育分野で国際的に活動しており、海外での講演や森のようちえんに関するオンラインコースも行っている。自然の中での保育について記した著書「Child of Nature」はデンマーク語と英語で出版されており、2020 年4 月には日本語版の出版が予定されている。研究分野は幼児教育学、自然教育学、リーダーシップ論。知識・能力を研究する施設「ボンサイ研究所」の所長でもある。
【幼稚園紹介】
森のようちえん「Børneøen Bonsai(こども島ボンサイ)」 (http://rs-bonsai.dk/)
コペンハーゲンの少し北にある森のそばにある茅葺き屋根の建物にある私立のルドルフ・シュタイナー保育施設。3歳未満児38名の保育園と、3〜6歳の子ども約100名の幼稚園とで構成されている。ボンサイは「森のようちえん」として1歳から6歳までの子ども全員が、毎日質の高い野外生活を送っており、自然の中での自由遊びと、お遊戯、おとぎ話の語り聞かせ、お絵かき・水彩などの芸術活動と、季節ごとの祝祭の準備が、日々織り交ぜて行われている。
「こども島ボンサイ」は、2000年にリッケとモーテン・ローセングレンによって設立された。「ボンサイ」という名前を選んだのは、それが日本語でよく手入れされた小さな木という意味だからで、盆栽と同じように、小さな子どもには愛情という栄養と、時間、そして発達のための適切な枠組みが必要という意味が込められている。
▼全国の書店、Web書店で発売中。
「Child of Nature(邦題・北欧の森のようちえん)」
https://www.izara.co.jp/edu/978-4-7565-0145-5.htm
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▼リッケ・ローセングレン先生によるオンライン・セミナーは、10月10日(土)にも開催されます。
【こんな方にオススメ】
・創造性や多様性を育む北欧の教育に関心がある教育関係者・保護者の方
・自然を活用した保育や子育てに関心がある方
・都会の中でも子どもをのびのび育てたいと考えている方
・個性を大事にするデンマークの教育に関心がある方
こちらへのご参加も併せてご検討ください。
]]>JUGEMテーマ:シュタイナー教育 シュタイナー幼児教育
イザラ書房を引き受けた時に、シュタイナーのジャンルは多岐に渡るので、まずは自分が興味があるジャンルからと思い、芸術、医療、農業・・と考えていて、教育の分野は苦手意識がありました。
ですが最近は「教育は予防医学」というシュタイナーの考え方がしっくり来るようになりました。きっかけは『社会問題としての教育問題』 を今井重孝先生と一緒につくり上げたことかなぁ。
自分が生徒だった時、残念ながらナイスな教師には出会えませんでした。(それは私が見る目がなかったのかもしれませんが)
ですが、こうして社会人となって本を創る仕事について、だんだんと素敵な先生方に出会うようになってきて嬉しいです。
教育は大事だなぁとつくづく思います。そう思えるような人たちに出会えたのはイザラ書房をやっているお陰だと痛感します。感謝ですね〜
ご本人の了解を得て、ここにご紹介させていただきます。
励みになります。
ありがとうございます。
・・・・H・Aさんから・・・・
本を受け取りました。
素敵な本を発刊してくださり嬉しくおります。
感想を書かずにはいられず、まだ最後まで拝読していませんが、
私はシュタイナー教育に携わっていた時期もあり、
卒論に向けて、
でも今、多くの方が子育てで悩み、
この本によって、
今、私たちにおこっているコロナのことにしても、
最後まで読むのが楽しみです。
素敵な写真と共にかみしめ、
ありがとうございました。
シュタイナー教育、人智学は深く、それを
5月6日までコロナ渦の緊急事態宣言をうけて
新刊刊行記念の特別割引キャンペーンを行いたいと思います。
【イザラ書房のショッピングカートから申し込んだ方】に
下記のような割引を提供します。
・2割引き
・消費税ナシ
・送料無料
つまり税込み 2970円 → 税ナシ2160円 になります。
810円のディスカウントです。
こうしたキャンペーンは、初めてなのですが、著者のリッケ園長の講演会を楽しみにしていた下さった方々もいらっしゃったはずなので、せめてもの・・・という気持ちです。
下記はジュンク堂池袋店でパネル展示の様子です。
下記イザラHPからショッピングカートに行けます。
https://www.izara.co.jp/edu/978-4-7565-0145-5.htm
また、ためし読みもできるようにしました。
https://hanmoto8.tameshiyo.me/9784756501455…
ご自宅で、少しでも気持ちのよい風が皆さまの心の中に吹きますようにと願って。
]]>お待たせいたしました。
『種まきカレンダー2020』販売開始します。
イザラ書房のショッピングカート(本日から)
アマゾン等ネット書店
全国の書店(4月7日以降)でお求めになれます。
書店でご注文の際にはイザラ書房刊の『種まきカレンダー2020』と書名をお伝えください。
先日、ワタリウム美術館に伺った際に目に入った
ワタリウム美術館での初回ルドルフ・シュタイナー展でのポスター。
このようなシュタイナーさんの写真を見るのは初めてで、ちょっとドキドキしてしまいました。
残り1枚、2000円だそうです。
私が伺ったのは2月16日でした。
まだ残ってるのかしら?
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